出生

私、誕生

昭和38年4月に、「私」は誕生した。

右も左もわからぬ、ひ弱な赤ん坊だった。

私を産んだ母は、「生まれてくるのをとても楽しみにしていた」といった。

けれども、母の母(私の祖母)は、自分の死ぬ間際に、「子供は作ってはくれるなよ」と言い残して、世を去ったらしいとも聞いた。

実の父は、いわゆる「アルコール依存症」だったので、母との結婚話が持ち上がった時も、周囲の猛反対にあったらしい。

母ですら、「結婚するんじゃなかった。独身の時の方が幸せだった」と言っている。

私自身も、もしも親を選ぶことができたなら、違う親のもとに生まれてきたかった。